「一日一生」〜時間と向き合う

 

「一日一生」という言葉をご存知でしょうか。
有名な言葉でベストセラーにもなった書籍のタイトルなのでご存知のかたも多いと思います。
これは比叡山延暦寺の千日回峰行を2度満行した僧侶、天台宗大阿闍梨・酒井雄哉(さかいゆうさい)さんの言葉です。

千日回峰行とは、7年がかりで約4万キロを歩く比叡山(ひえいざん)延暦寺の荒行こと。
もし続けられなくなったら自害するという死と隣り合わせの修行です。常に短剣と埋葬料10万円を携行しているそうです。

酒井雄哉さんの言葉

まだお元気だった頃に直接お話を伺える貴重な機会に恵まれました。
穏やかな表情がとても印象的な方でした。
優しい笑みをたたえた酒井さんは「一日一生」という言葉についてこう語られました。

 

 
今日の自分は今日でおしまい。
明日の自分は今日の自分とは違うんだ。
『一日が一生だ』と僕は言うんだけれど
どんなときも一日一日を
真剣に生きていくしかないんだよ。
 

 

「今できることをコツコツやりなさい」ということなのでしょう。
私自身、本当に大切なのは特別な日ではなく、普段の普通の1日が大切だといつも考えていたので、酒井さんの言葉はすっと受け入れることが出来ました。
それと同時に自分の考えに確信を持つことができるようになりました。
私の人生にいつも風を吹き込んでくれる言葉です。

  

主婦の時間

主婦になって感じたのが時間の使い方の大切さ。
子育てに忙しい頃は、目の前のことに向き合うのが精一杯でしたが、子どもの成長とともに、自由な時間を持つことができるようになりました。
家族のための時間が最優先ですが、自分のための時間も持つべきだと思っています。

 

自分の時間を作り出す

では、その時間をどうやって生み出すのか。
それを考えることは、とても大切なことだと思っています。
効率よく家事をこなすために工夫しなければなりません。
主婦なら誰もがやっていることかもしれませんが、お料理の下ごしらえは数日分まとめてやっておいたり、こまめに掃除をすることだったり。
でも一番は「朝、早起きすること」

 

自分の時間をどう使うか

せっかく自分で作った時間。
大切に使いたいものです。
好きな織りをしたり、家族のために新しいレシピを試したり、過ごしやすい空間づくりのために勉強したり、お庭の草木と対話したり、自分を振り返ってみたり、整理整頓をしてみたり。
ひとつひとつの時間の積み重ねが、自分の人生を形成していきます。
そう思うと、ただ「ぼ~」っと過ごすのはもったいないですね。

 

好きな時間

わたしは早朝が好きです。
夜明け直前の時間。
まだ暗いけど、空気は新しく、凛として厳かな早朝。
空は漆黒から群青へ。
そして、マッチで暖炉に火をつけるように広がってゆく赤。

そんな様子を目にしつつ自分と向き合い、今日一日をどんな一日にしようか考えるのです。

時間の余裕は心の余裕。
無理のない計画を立てます。

 

一日一生

一日一生という考え方は時間の使い方と繋がっているように思います。
時間は過ぎていくのではなく生み出し使うもの。
今日という時間が与えられていることに感謝して大切に使いたい。
そう思うけれど、日常生活に流されつい忘れがちな思いです。

「一日一生」という言葉は、その忘れがちな「時間への感謝」を思い起こさせてくれる大切な言葉です。

桜の花びらが舞い、心地よい風が心を穏やかにしてくれます。

日々の暮らしの中ではいろいろな出来事があります。
ネガティブなことも決して少なくありません。
しかしそんなときこそ心に余裕を持ち、一日が終わるとき「今日も精一杯生ききった」と思えるよう過ごしたいと思います。