布は続くよどこまでも

雨の季節。
ふと目を外にやると、濡れた木々の緑が美しく青々と輝いて見えます。
植物たちにとっては暑い夏に備える大切な季節です。

こんな時期は縫い物をすることが多くなります。
家にこもり、ミシンと友達になるのです。

そしていろんなカバーや収納袋を作るのです。
小物や食材、道具や寝具の収納用に大小さまざまな大きさに作っておくと整理がしやすくとっても重宝します。

私は綿や麻などのナチュラルな素材が好きで、質の良い布は手元に置くようにしています。生成りの布はどんなものとも相性がよく、自然で落ち着きがあり、何より清潔感があって飽きが来ないところがいいですね。

キッチンでは、スケールやハンドミキサー、小さな道具を収納するための収納袋を作ります。


また、食材をまとめるのにも役立ちます。
買い物に行った際、果物や乾麺などがバラバラにならないよう、まず収納袋に入れてからエコバッグに収めます。そうすると効率よく収納でき、食品が傷つくのも防げて一石二鳥です。

冬まで出番のない毛布や羽毛布団の収納は私流。よく干した布団をたたんだら、空気を抜きながらクルクル丸めて筒状にします。それをお手製の収納袋に入れて保管します。重ねても場所を取らないお気に入りの方法です。口をひもで結ぶと大きなキャンディーみたいでカワイイですね。

パシーマのキルティングシーツ。厚みのある綿でしたが長年使用して生地が薄くなってきました。
綿製品を使っているとよくありませんか?生地が薄くなってくること。
そんなとき私はクッションの中身として使います。
感謝を込めてお湯でよく洗うと柔らかくしっとりと仕上がります。元の素材が良いので中身としても優秀。


カバーは織り布で作りましょう。
以前作ったインド綿のクッションの仲間入り。
それぞれの布の個性が出ていいバランス♪

一枚の布から何かを作ることもあれば、逆に布製品を一枚の布にして再利用することもあります。

寝具を整理していたら未使用のシーツが見つかりました。いま使用中のものがあるので、これは生地として使おうと思い立ちました。
そのまま生地にしても良いのですがせっかくなので染めることに。

古くなった日本茶と紅茶を使って草木染め。

大きな鍋に染料となるお茶を入れしっかりに出します。ザルと布で濾したら染液の完成。
出来上がった染液に布を浸すこと数時間。
その後、水洗いして媒染液に漬け込みます。
今回は鉄媒染とミョウバンを使用。
「鉄」「ミョウバン」「鉄とミョウバンを混ぜたもの」3種類の媒染液を用意し、それぞれに漬け込み、水洗いします。
しっかり干して乾かせば完成です。


真っ白だったシーツが、優しい色合いの3色の生地に生まれ変わりました。これらを使って今度は何を作ろうかな?

楽しみは尽きることなく広がっていきます。


日々の暮らしの中で活躍している「布」たち。今ある形が崩れても生地として再生してあげれば新しいカタチになって私たちの生活で役立ち、彩りを添えてくれます。

「もう捨てようかな」
その前に今一度立ち止まり考える。
アイデアが浮かび、捨てるはずの布に新しい生命を吹き込むことができたなら、こんなにステキなことはありません。

それを実現するためにはさまざまな見聞を広め、必要な技術を習得する必要があります。そこにいたる過程を楽しむ心。私はとても大切だと思います。
楽しみながら得た技術を今度は暮らしに活かす。
そうすればきっと自分らしい日常を過ごすことができます。
「自分らしさ」を生み出す日常。

それこそが「豊かな暮らし」なのだと思うのです。
織りや暮らしの中で出会ったたくさんの布たちがそのことを教えてくれたような気がしています。