ひとりを愉しむ食事。みんなで楽しむ食事。

雪で始まった2022年。
年が明けて最初の二十四節気「小寒」。
寒の入りというだけあって、滋賀県の湖西地域は雪が降っています。

寒さのせいで、というわけではありませんが1年ぶりのブログ更新。
インスタグラムではたまに織りなどの写真をアップしていたのですが、ブログのように「文章で」となるとなかなか考えがまとまらずついつい筆が遠のいてしまいがちです。

それでも細く長くマイペースに続けられればいいなと思います。
また、ひとりでも見ていただける方がいらっしゃると励みになります。
どうぞ今年もよろしくお付き合いくださいませ。


さて、お正月三が日が過ぎ、一緒におせちを楽しんだ子どもたちがそれぞれの生活に戻っていきました。
楽しくにぎやかな時間だった分、一人になるとポツンとした気分になります。

そんなある日、ポストを覗くとアマゾンからの荷物がひとつ。
長男がプレゼントしてくれた1冊の本が配達されていました。

有元葉子さんの「ひとりを愉しむ食事」(文化出版社刊)

今の私にピッタリのタイトルです。
有元さんの暮らし方や考え方に共感する事が多く、何冊か本を持っています。

この本はひと言で表すと「美しい」です。


みずみずしい野菜を盛り付けたサラダの写真が目を引く装丁。
ページをめくると、炊きたてのお米やシンプルながら美しく盛り付けられた一人分の食事。
使い込まれた道具やセンスの良い食器たち。


レシピだけではなく、暮らしや食事に対する考え方などがバランス良く散りばめられた、色んな意味で美しい本。

写真集のようでもありエッセイのようでもあります。

レシピなど説明はわかりやすく、有元さんの食材へのこだわりや考え方などは非常に奥深く感じられ、地に足のついた料理研究家だと思います。さすが多くの著作とファンを持つ方ですね。

1ページ読みすすめるたびに「そうそう、そうですね」と心のなかでつぶやき共感することばかり。
私のひとりの食卓に彩りがひとつ加わりました。
いつもそばに置いておきたい素敵な1冊です。


彩りといえば、お正月の「おせち」。
私は毎年手作りしています。
ずいぶんと時間をさかのぼりますが、結婚当初から毎年欠かさずもう数十年。

誰に教わったというわけではなく数々の失敗と試行錯誤を重ねてきました。

年末27日、黒豆を水に浸すことから始まるおせち作りは大晦日まで続きます。

味の染みてほしい煮物から順に31日は焼き物やだし巻きを。

食材と向き合い家族の好みを考えながら、一品づつ味がかぶらないよう気をつけて。

ひとつづつ丁寧に仕上げることで、元旦にみんなが楽しめるおせちが出来上がります。

もちろん失敗も数多くあります。
「ごまめ」は水飴を入れすぎて固くなってしまい、お箸が折れてしまったことも…。
今となっては笑い話ですが、数々の失敗から学ぶことは多く、自分の成長と翌年へのモチベーションにつがります。

毎年同じものでもいいのですが、やはり新たにチャレンジするほうが楽しい。だから、食材を変えたり味を足したり引いたりと試行錯誤を繰り返します。

今年は新たに「鯛の昆布締め」「サーモンチーズ巻き」が加わり、前述の「ごまめ」にはくるみを加え食感をプラスしました。

ひとつひとつはささやかですが、たくさん並ぶと華やかな食卓です。玄米餅を焼き、出汁の効いたお雑煮を作り新年を祝います。

手作りの料理が並ぶと、その作り方や味付け、素材など話がはずみ、話題が広がっていきます。

今年は有元葉子さんの「ひとりで愉しむ食事」を参考に文字通りひとりを楽しみながら小さな工夫を積み重ね、また来年みんなで楽しく過ごせればとても幸せなことです。


一日として同じ日はなく、良いことも悪いこともある。
さまざまな日々を暮らすなかで強く思うことがあります。

それは
自分が「今」できることを「今」する
ということ。

「変化を恐れず、変化を急がず」ありたいと思うのです。
変えられることは変えていく、でもうまく変えられないことは無理して変えず、変えられないということを受け入れていこうと思います。
穏やかな日々はそうやって実現するのではないでしょうか。

しかし、時には無理をすることも大切。

それが自分の限界を教えてくれるし、世界を少しだけ押し広げてくれるのだから。