風が運んできたもの

引越をして家の中が落ち着いて、次に着手したのは庭作りでした。
私は一階にあるデッキの前に小さな庭を作ることにしました。

私たちが来るまでの長い間、この土地は雑草たちの楽園でした。
その強い根っこは大地をしっかりと掴んで離しません。

頑固で元気一杯の雑草たちとの格闘が始まりました。

空いた時間を見つけての作業です。

全ての地面を均すまで三年くらいかかりました。

その上に前の家でも使っていた平石を隙間なく並べていきます。
斜面には割れた鉢などを使い、土止めをしてから植物を植えます。

私はさりげなくてかわいい花が好きなのでハーブ類を植えることが多いです。

ローズマリー、セージ、タイム、レモンバーム、ラベンダーなどを中心に空いたスペースにはイワダレソウ、エロリゲン、ツルニチソウなど横に広がるものを配置。

いろんなところで出会った植物たち。
友達に分けてもらったり、道端から呼んでいたり…。

みんなとてもかわいくて眺めているだけで心が落ち着きます。
ハーブはお茶や料理に利用できるのも嬉しいですね。

草花だけではなく、木の緑の葉も素敵です。

オリーブ、ユーカリ、トネリコ、アオダモなども植えました。
葉の形や色、香りがそれぞれ個性があって楽しいものです。

風が吹いた時の揺れ方もみんな違います。
だけど、どの木の揺れ方も気持ちよさそうで癒されます。

幸いなことに、日当たりのいい庭なので成長が早い分、春から秋まで剪定に追われます。
真夏の剪定はとっても大変なのですが、琵琶湖から時折吹くひんやりとした風が作業を後押ししてくれるのです。

春、小さな手を広げるように新芽が顔を出し思わず笑顔になったり
夏、暑さで葉が枯れたり、虫がついてヤキモキしたり
秋、色づいた庭の草木の美しさに感激したり
冬、落ち葉拾いをしながら、また出会う新芽のことを考えてみたり

一年中、植物たちのお世話をしているつもりが、たくさん元気をもらっていることに気づきます。

風が運んでくれるハーブの香り。

素敵なプレゼント。

庭に目をやると、みんな手を振るように揺れていました。