守山石がつなぐ、京都東山の庭園とわたしのお庭。

2018年4月末に放送されたNHKの人気番組「ブラタモリ」の京都・東山編をとても興味深く拝見しました。

4月21日から3回に渡って、京都東山から宇治にかけて紹介されていました。

毎回楽しく拝見していますが、今回は特に奥東山の別荘、對龍山荘(たいりゅうさんそう)の庭園が素晴らしかったです。

京都の庭園といえば白砂と石で水を表現した枯山水が代表的ですが、明治時代に作られた對龍山荘では石と水がふんだんに使われているのが大きな特徴です。


番組の中ではあの山荘で使用されている石『守山石』のことを取り上げていました。。滋賀県湖西地域の住人としてはとても身近に感じる話題でした。あの守山石、私の庭で多く使っている石と同じなんです。

チャートと呼ばれる縞模様が美しく割れにくく摩耗に強いため庭石として人気がある岩石です。


比良山を中心とする湖西地域は守山石の産出で有名な場所。明治23年、琵琶湖と京都東山を結ぶ琵琶湖疏水が完成すると物流、水運が大きく変わったそうです。

琵琶湖の水が京都の街を潤したのはもちろんですが、船での物資輸送がさかんに行われるようになりました。

それに目をつけたのが、近代造園の先駆者といわれた小川治兵衛です。

白川石が中心だった京都の庭園に守山石を持ち込み、池や流れのある庭園をたくさんつくりました。

東山には財閥や富豪の別邸がたくさんありその庭に多く使われたようです。

比叡山をバックに緑と水と石が織りなす庭園を明治の文化人は楽しんでいたのですね。

美しい色彩や水の音、風の音など枯山水のわびさびとはまた違ったおもむきだったことでしょう。


自宅を建築する際、基礎を作るために土地を掘り起こすと、大小様々のたくさんの岩石がでてきました。そのほとんどが守山石だったので庭を造っていただいた方が、その石を庭造りに活かせないかと考え工夫してくださったことを思い出します。

守山石はよく見てみると、何層もの堆積層が反映されていて模様がきれいです。形や色も様々で違う種類のように見えるものもありました。

自然の石は草花との相性もよく、お互いが存在を引き立てあっているように感じます。對龍山荘とは比べられるような庭ではありませんが同じ石を使っているという事実を知っただけで身近に感じることができました。

たくさんあるので庭だけではなく、玄関前やベンチの土台にも守山石を利用しました。

何かのご縁があって、出会ったこの土地。

すっかり見慣れてしまった守山石ですが、番組を通じていろいろなことを知ると、いつも以上に愛着を感じますね。

すべてのご縁に感謝しながら、素材を大切に楽しいお庭にしたいと心から感じることができました。

これからも末永くいい番組を制作していただきたいなと思います。