「染め」はドキドキします。
「織り」は無心です。
何を作るかは考えません。
気持ちの赴くままに織るのが
私流。
糸選び
Yerns Select
糸選びはいつもワクワクします。
素材、太さ、色。
選択肢は無限。
コットンにリネン。シルクにウール。
例えばウールにもいろいろ種類があります。
アルパカ、カシミヤ、ツイード、モヘア、ループ、スラブ...。
番手によって撚(よ)りの強さも違います。
手触りだっていろいろ。
ふわふわ、サラサラ、モコモコ、しっとり。
だから私のイメージも無限に広がります。
糸選びは出会い。
好きな糸を見つけるとワクワクと嬉しくなります。
糸に寄り添い、色と素材をどんな組み合わせにしようかしら。
しばらく、迷ってみましょう。
さあ、これから私の作品作りが始まる!
そんな心おどる時間です。
気がついたらいろんな糸玉を手にしています。
その中から選ばれた糸たち。
手触りを確かめながらバランスを考え整経します。
これから長い長いお付き合いの始まりです。
染め
dyeing
整経した縦糸。
染めないところを紐で縛ります。
織りを楽しむ為の染めです。
濃淡を表現したいのです。
例えば青色の糸に緑をかけてみる。
どんな色になるのでしょう。
色はとても複雑。
青といっても色んな青があり
素材によって染め上がりは全く違います。
ドキドキしながら思い切って染める。
そう、染めはドキドキを楽しむ時間。
思い通りにならないものです。
そして同じ染めには二度と出会えません。
唯一無二の存在。
1本の糸はまるで私たち人間のようです。
だから私は染めをコントロールしようとは思いません。
「この青い糸はどんな青色に染まってくれるのかな?」
洗い、乾かして初めてわかるの染め上がりの色。
どんな色になっても、それを受け止め
その色を大切に生かします。
だから、どの色も「幸せ色」です。
織り
Weaving
縦糸をヘルドに通しワイヤーヘルドに分けて通します。
大切にしたいのはこの作業です。
糸の太さ、色、分量。
それらのバランスを考えながら配置します。
それでいて個性的であるように
糸をしっかり張りながら巻き込む。
根気のいる手の抜けない作業です。
どの作業も自分の手加減で表現できる。
そこに手織りの良さがあります。
縦糸のセットが終わったら横糸を織り込んでいきます。
よく見る手織りの作業がようやく始まります。
横糸の選び方で織り布の雰囲気が決まります。
粗く、細かく、強く、弱く。
ギィートン・タントン、ギィートン・タントン。
リズミカルに、会話を楽しむように。
無心にシャトルを滑らせる。
心落ち着く、楽しい時間です。
ギィートン・タントン、ギィートン・タントン。
1本1本、丁寧に。
やがて一枚の布が織り上がります。
織り上がった布は優しく手洗いします。
どんな風合いになるのかしら?
乾かして初めてわかるのです。
様々な手順を経て
一枚の織り布と出会うことができます。